森の入り江の離れ宿 無雙庵 枇杷 静岡県》西伊豆・土肥温泉
■森の入り江の離れ宿 無雙庵 枇杷
(モリノイリエノハナレヤド ムソウアンビワ)
〒410-3302
静岡県伊豆市土肥259-1
TEL:0558-97-3123
▼貸切風呂の数DATA
貸切露天風呂:2
貸切の内風呂:0
部屋付き露天風呂:8
部屋付き豪華内風呂:0

▼貸切風呂ココがPOINT!
「無雙庵 枇杷」には大浴場は無いが、敷地の頂上部に、湯舟に白御影石を用いた「河童の談(かっぱのあつらえ)」と、湯舟に大岩を用いた「天狗の瓢(てんぐのふくべ)」という二種類の貸切露天風呂がある。
眼下に広がる土肥の街並みと駿河湾を眺めながら楽しむ湯浴みは、まさに至福のひと時。利用可能な時間は15:00〜翌朝までだが、利用希望者の多い時間帯の15:00〜22:00の間の利用を希望する場合に限っては、チェックイン時にフロントで予約を取る必要がある。西伊豆最大の魅力と表現しても良い、駿河湾に沈みゆく夕日を眺めながら温泉を堪能するためにも、早めにチェックインして予約を取ることをおすすめしたい。嬉しいことに貸切風呂の脱衣場では、おいしいと評判の伊豆牛乳が無料サービスでいただくことができる。湯上りに是非一本。
また、全ての客室に備えられた客室露天風呂は、ウッドデッキにはめ込まれ、開放感も抜群。好きなときに好きなだけ、刻々と変わっていく海と空のパノラマを存分に味わえるのが最大の魅力だ。完全なプライベート露天風呂とも言えるので、思い思いに湯浴みの時間を楽しんでほしい。
なお、「無雙庵 枇杷」の温泉の泉質は「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉」。高血圧や婦人病、皮膚病などに効果があるといわれるお湯にはじっくりと浸かりたい。

▼画像集
貸切&客室露天風呂1
貸切&客室露天風呂2
施設&大浴場1
施設&大浴場2
客室
料理
お土産&その他

▼宿泊情報
【IN】14:00
【OUT】11:00
【通常料金】
\37,125〜(休前日+\5,775)
【カード使用】
【夕食】創作和食
【朝食】和食
【部屋食】料金UP可

▼貸切風呂情報
【貸切料金】
宿泊の場合無料
【利用時間】
15:00〜(22:00から翌朝までは予約なしOK)
【貸切風呂の予約方法】
チェックイン時

▼施設情報
【部屋数】
露天風呂付部屋(和洋室でミストサウナ付き)8室(32名)
【駐車場】
10台
【施設】
-

▼泉質・効能
【泉質】
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩、塩化物温泉
【源泉の温度】
-
【湧出量】
100リットル/分
【源泉の湧出状況】
旅館組合で集中管理して各旅館に分配される源泉
【加水/循環ろ過】
●客室の露天風呂は源泉掛け流しだが加水による温度・湯量調節をしている
●貸切露天風呂は源泉掛け流しだが加水による温度・湯量調節をしている
【加温】
なし
【消毒】
あり(詳細:旅館組合の集中管理時に塩素消毒を行っている)
【浴槽の掃除の回数】
1日1回
【入浴剤】
未使用
【効能】
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、慢性皮膚病、虚弱児童、病後回復期、疲労回復、健康増進、動脈硬化症など
【湯の色】
無色
【飲用】
不可
【飲用の効能】
-
【におい/味】
無臭

▼日帰り貸切情報
【料金】
-
【利用時間】
-
【食事付きプラン】
なし

▼こだわり情報
【近くのコンビニ】
クルマで2分
【携帯アンテナ】
ドコモ(MOVA):3本
ドコモ(FOMA):3本
ソフトバンク:3本
au:3本
【冷蔵庫】
利用した分だけ申告(持ち込みのドリンクを入れるスペースあり)
【その他情報】
シャンプー:◎
リンス:◎
リンスinシャンプー:×
ウォッシュトイレ:◎

▼CHECK!
現在は美しい夕日が眺められる景勝地として、また江戸時代には金山のある街として栄えた“土肥”。この地にある「土肥温泉」は、金山開発中の1611年に、坑口のひとつ「安楽寺境内」から湧出したことがその始まりと伝えられている。長い間金山で働く人たちの疲れを癒していた知る人ぞ知る温泉は、1905年より本格的な温泉街としての開発が始まり、それ以降は西伊豆有数の温泉街のひとつとして、多くの観光客から愛されている。

「無雙庵 枇杷(むそうあん びわ)」が誕生したのは平成17年の4月こと。夕日の名所としてしられる「旅人岬」を眼下に見据える旅館「星のなぎさ」を運営する(有)ウエスト・クリエイティブ社が、地元の建築会社の寮が建っていた土地が売りに出された際、迷うことなく購入し、この旅館を誕生させた。購入の決め手となったのは、現在は遊歩道として整備され宿泊客が直に自然と触れ合えることで評判となっている裏山だったという。と、いうのも、以前の所有者であった建築会社の会長の趣味が山で、竹林や果樹園など様々な要素がこの裏山に詰まっており、「自然を身近に感じられる環境に旅館を建てたい」という願いを叶えるのに絶好の土地だったからだ。

裏手に山がそびえる高台にある旅館なので、相模湾と土肥の入り江が光を反射させ輝く美しい姿も、四季折々に様々な表情で楽しませてくれる山の姿も眺めることができる。その自然情緒豊かな環境に、館内に足を踏み入れる前から心が踊る。館内の設えは古民家調に統一されており、なかでも重厚感を漂わせる梁に自然と目がいく。この梁だけでなく、ロビーと母屋にはアフリカ産の「ブンビカ」という珍しい風合いの木が使用されている。このロビーの一角には、駄菓子が並べられたコーナーがある。取材日がひな祭りに近かったこともあってのことかと思ったのだが、そうではなく、創業時よりお客様へのおもてなしの一環として行っているそうだ。日本人のDNAに刻まれている古民家の姿を見、童心を呼び戻す駄菓子をいただいてから、客室に向かおう。客室に向かう際に目に入ってくる巨木は、旅館のシンボルツリーでもある山紅葉。この巨木が色付く10月末〜11月半ばの期間は、なかなか予約が取れないそうである。

客室は、平屋タイプと二階建てタイプの2種類に分けることができる露天風呂付き離れ客室が、全部で8室ある。
家具などの調度品や内装の設えに多少の変化は付けられているが、同タイプの部屋であれば、間取りは同じである。客室に足を踏み入れてまず目をひくのは、どっしりと存在感を強調し、かつ落ち着き感も漂わせている囲炉裏。とはいえ、それを重く感じさせないのは、古民家の特徴でもある高い天井と部屋の広さゆえと言える。大きな柱のない和室は、全面解放できる窓をこえて駿河湾を望む広々としたウッドデッキへと続いている。デッキチェアと露天風呂が備えられたこの場所で、時を忘れて眺めたいのは西伊豆の一番の魅力といっても過言ではない美しい夕日。刻々と変化してゆく空の色を眺める至福の時間は、まさに西伊豆のクライマックス。この宿で味わえる最高の贅沢ともいえる。
寝室にはCDデッキ、リビングにはTVとDVDが配されており、夜の帳が下りた後は、お気に入りのCDやDVDをお供に、安らぎのひと時を送るのも良いだろう。
また、アメニティの充実も見逃せない。特に、女性用アメニティは基礎化粧品からメイクセットまで揃う、至れり尽くせりの内容になっている。

ここで取材時の(2008年3月)夕食のメニューを紹介させていただく。基本的には食事処でいただくことになっているが、部屋食のオプション(\3,150)もある。
料理は地産地消をポリシーにしており、裏山で採れる食材はもちろん、野菜は自社の畑や近隣の農家から仕入れ、海産物は戸田や沼津に水揚げされた、駿河湾産の新鮮な食材を用いている。
食前酒の桜葉ワインをぐいっといただいて、まず前菜。前菜には、真鰯の佃煮、鴨のロース肉を用いた酒のあてにもちょうど良い鴨春菊、兵庫産の蛍烏賊を用いた蛍烏賊酢味噌、マナガツオの幽庵味噌焼き、蕗と若布を一緒に流して蒸し上げた蕗若布豆腐の五品が並んだ。
お造りには、5月中旬まで続くトロール漁により戸田で水揚げされた、手長海老、金目鯛、サザエ、鯛が、種類豊富な妻物とともに鮮やかに盛り付けられていた。山葵処として有名な天城まで程近いこともあり、山葵は天城遊水山葵を自分で卸していただく。
焼物は、高温に熱した石に見立てた陶器の上で、伊豆和牛のリブロース肉を焼いていく。程よく焼きあがったところで、しょうゆ、土肥の天然塩をお好みでつけて。香ばしいにんにくチップも肉の味をより引き立てていた。
鍋物は、三色桜香鍋と名付けられた鍋物。冬期「無雙庵 枇杷」の夕食で特に力を入れるのがこの鍋物だそうだ。取材時の鍋物とテーマは「ひな祭り」。菜の花と帆立の団子、人参のすり身の団子、鮪団子の三種の団子、車海老、ねぎ、白菜、しいたけ、エノキが入った薄味の鍋だった。
箸休めに出されたのは、レモングラスのグラニータ(グランテ)。シャーベットのような食感の一品は、自社の畑で収穫したハーブと、ワインから作られている。砂糖では無くグラニュー糖を用いたことで、甘さ控えめに仕上げられていた。
蒸物は尼鯛のさくら蒸し。ピンク色の道明寺の上に、尼鯛と白菜を桜の葉で巻いたものを乗せ、一気に蒸し上げた一品。
酢の物に並んだのは、桶盛りの心太ともずく酢。土肥名産でもある心太は、創業当時は器に盛ってそのまま出すスタイルだったそうだが、料理のひと時をさらに楽しく、思い出に残るひと時にしたいという想いから、現在は宿泊客自身で作るスタイルとなっている。特に年配の方から好評の声をいただいているそうだ。
留椀は手長海老の味噌汁、食事のごま油で炒められた菜の花の乗ったあさりご飯が最後に登場。春を感じさせる一品で、味もおいしかった。
水菓子は、もなか生地の中に小豆、白玉、生クリーム、苺、桜アイスが入った一品。ボリュームがあるので、食べ方にも悩んでしまう一品ではあるが、しつこくない甘さが後をひく味だった。サービスのコーヒー、紅茶とともに。
また、夕食中には翌日の朝食にでる干物を持って、スタッフが各食事処を回っている。ザルの上に並んだ伊豆名物の干物を選択することができるのは、翌日の朝食の楽しみ広がることだろう。取材時に選択できた干物は、カマス、室アジ、鯵、金目鯛、エボダイの5種類だった。

翌朝の朝食で印象的なのは、桶に盛り付けられたレタス、きゅうり、トマト、わさび菜、エシャロット、みかんなどの生野菜。食材にこだわっているので味も濃い野菜は、味噌を付けなくても十分においしい。他にはたくあん、レンコンの芽、しば漬けなどの漬物、茶碗蒸し、烏賊・インゲン・がんもの煮物、シラスおろし、梅干、磯のりと豆腐の味噌汁、少し硬めに炊き上げられた白米が並ぶ。夕食時に選択した干物を引き立てる献立だ。

夕食の後は、一休みしてから、ロビーに作られる特設ステージに向かいたい。ここでは、毎週月・水曜日は「オカリナ演奏」、火・木曜日はシャンソン歌手・石橋美和さんによる「シャンソンの調べを楽しむ夕べ」が開催されている。思わず聞き入ってしまい、涙する宿泊客もいるそうだ。
また、是非試してほしいのがエステだ。客室まで出張して施術してくれるのが特筆すべき点の一つ。夏場などの暖かい時期には広々としたテラスで、そよ風を感じながら施術してもらうのも良いだろう。5種類あるコースの中で特に人気があるのは、「羽衣の刻(はごろものとき)」(45分/\9,000)と命名された背中のトリートメント。エステは女性のためのものというイメージがあるが、「無雙庵 枇杷」のエステは男性も施術してもらうことができるので、大切な人と一緒に施術してもらうことをおすすめしたい。営業時間は15:00〜22:00までなので、興味のある方は早めに予約を入れる必要があるだろう。

さて、この宿の最大の魅力とも言うべき裏山の散策路をご紹介したい。
「お背戸のお山」と名付けられたこの散策路へは、フロントで一声掛けて手かごと採取ばさみを受け取ってから出向きたい。この散策路では、3月から4月・10月から11月にかけては「土肥椎茸」、3月から5月にかけては「あまなつ」、4月から5月にかけては「孟宗竹筍」、6月から7月にかけては「枇杷」、11月から2月にかけては「みかん」など、様々な山の恵みをその場で収穫することができる。それだけでなく、運がよければ野生の狸、いたち、猪、ニホンザルにも遭遇することもできるそうだ。まったく採集が期待できない時期であっても、季節ごとにその表情を変える海、空、山を眺め、ゆっくりと巡り歩くだけで心が癒されることだろう。

チェックアウト前にはロビーにあるお土産コーナーへ立ち寄ることも忘れないでほしい。宿名に含まれる「枇杷」を用いた「枇杷大福(9個入り/\860)」や「枇杷きらら(8個入り/\740)」はこの宿でしか購入することが出来ない。また、小皿、大皿、しょうゆ挿し、徳利など各種取り揃えられた焼物も味があるので、しっかりと見定めてほしい。

この旅館を運営する(有)ウエスト・クリエイティブ社は、代表取締役社長である西巻貞雄氏が「家族みんなで仕事がしたい」という夢を実現させるために起こした会社である。そして、現在「無雙庵 枇杷」の陣頭指揮を執っているのは、彼の息子である常務取締役の西巻信一郎氏と、娘の統括本部長・西巻佐知子氏だ。裏山の有効活用法や、館内におけるコンサートの企画・運営など、各種アイデアを旅館に持ち込むのは常務。宿泊客からは見えない部分をしっかり固め、裏方に徹しているのが統括本部長。一族が同じ方向を向き、協力しながら運営することの強さを見せ付けられたような気がする。また、彼らの姿と、その理念が旅館内に浸透しているからこそ、スタッフが楽しそうに働くことができるのであろう。

「無雙庵 枇杷」には、平屋とメゾネット、二種類のタイプに分かれた離れ形式の客室に、広々としたウッドテラスと露天風呂が付き、客室には存在感を主張する囲炉裏も配された、日本旅館の良さを感じる旅館である。しかし、寝心地の良いベッドで就寝を迎えるように、様々な点で日本人好みの欲張りな設えとなっている。このような分かりやすさこそが、最大の特長であり人気の秘密なのだろう。実際に、予約を取るのが困難な宿として認知されている。
とはいえ、変に敷居の高さを感じさせる雰囲気ではないのは、オーナーのキャラクターなのかもしれない。人懐っこさをずっと忘れずに、くつろげる空間作りに徹してほしい。
首都圏から距離は少し離れているが、西伊豆自慢の夕日と四季折々に豊かな恵みを与えてくれる山をも持つ旅館は他には無い。喧騒を忘れ、自然に包まれのんびり過ごしたくなったら、この宿を訪れてみると良いだろう。(J/NS)

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