神奈川県》箱根・塔ノ沢温泉
■元湯 環翠楼
(モトユ カンスイロウ)
Motoyu KANSUIRO
〒250-0315
神奈川県足柄下郡箱根町塔之沢88
TEL:0460-85-5511
▼貸切風呂の数DATA
貸切露天風呂:2
貸切の内風呂:1
部屋付き露天風呂:1
部屋付き豪華内風呂:6

▼貸切風呂ココがPOINT!
歴史と伝統を感じさせる文化財の宿「元湯 環翠楼」には、源泉かけ流しの貸切風呂が3つ備わる。
そのうちの2つが、宿の目の前を通る渓流・早川を高台から望む露天風呂となっている。
本館1階から、いったん外に出て、しばらく川沿いを歩くと、敷地の一番奥に浴場棟が見えてくる。
露天風呂の名は、「静寛の湯」と「翠雲の湯」。
それぞれ時間帯によって、女性専用、男性専用の露天風呂となっているが、夜10時から翌朝4時までが貸切風呂となる。
「静寛の湯」は、周りにヒノキ板が敷き詰められた湯舟で、その先は緑生い茂る木々と早川が目に入ってくる。
渓流のせせらぎも耳に心地いい。
新緑やモミジの紅葉など、箱根の季節を感じることができ、6月には蛍が現れることがあるという。
今や箱根では少なくなった、本格的な源泉かけ流しの宿なのだ。
ただし、排水がそのまま早川に流れる形となっているので、いわゆる「エコ石鹸」しか使えないので注意。
この2つの露天風呂の利用方法は、予約は必要ないが、入口の木札を「貸し切り」にして中に入る。

▼画像集
貸切&客室露天風呂1
貸切&客室露天風呂2
施設&大浴場1
施設&大浴場2
客室
料理
お土産&その他

▼宿泊情報
【IN】15:00
【OUT】10:00
【通常料金】
\18,900〜(休前日+\1,050/2,100)
【カード使用】
【夕食】懐石風料理
【朝食】日本食
【部屋食】夕朝

▼貸切風呂情報
【貸切料金】
宿泊の場合無料
【利用時間】
内湯:24時間、露天:22:00〜4:00 
【貸切風呂の予約方法】
予約なし(先着順)

▼施設情報
【部屋数】
和22室(バストイレ付き7室/トイレ付き13室) うち露天風呂付き客室1室、内風呂付き客室6室(100名)
【駐車場】
30台
【施設】
宴会場・売店・Bar MANGA・ゲームコーナー・卓球コーナー(1,050円)

▼泉質・効能
【泉質】
アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
【源泉の温度】
30℃、45℃、58℃の3本を混合
【湧出量】
60リットル/分
【源泉の湧出状況】
自家源泉で動力泉(ボーリングによってくみ上げる源泉) 
【加水/循環ろ過】
男女別大浴場、露天風呂、貸切風呂、客室露天風呂は、源泉100%かけ流し 部屋付きの温泉風呂は蛇口をひねると源泉が出てくる
【加温】
あり(季節によって加温)
【消毒】
あり(露天風呂のみ)
【浴槽の掃除の回数】
毎日
【入浴剤】
未使用
【効能】
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
【湯の色】
なし
【飲用】
不可
【飲用の効能】
-
【におい/味】
なし

▼日帰り貸切情報
【料金】
-
【利用時間】
-
【食事付きプラン】
あり

▼こだわり情報
【近くのコンビニ】
徒歩・クルマで15分
【携帯アンテナ】
ドコモ:圏外
ソフトバンク:1本
au:3本
【冷蔵庫】
利用した分だけ申告(持ち込みのドリンクを入れるスペースあり)
【その他情報】
シャンプー:◎
リンス:◎
リンスinシャンプー:◎
ウォッシュトイレ:△

▼CHECK!

箱根湯本から、東海道に沿っておよそ1km。
有名な土木遺産に登録されている函嶺洞門を越えたところに、箱根七湯(現在は箱根二十湯と呼ばれている)のひとつ、塔之沢(塔ノ沢)温泉がある。
塔之沢温泉は、阿弥陀寺を開山した弾誓上人(たんせいしょうにん)が、慶長10年(1605)に発見したと伝えられている。
この地に誕生した「元湯 環翠楼」は、400年の歴史を刻む、箱根屈指の老舗旅館。
開湯(創業)は、江戸時代初期の慶長19年(1614)の事。
目の前には、早川が流れている。
当時の屋号は「元湯」だった。
「元湯」が創業してから16年後に、向かいの「一の湯」が生まれたわけだが、その屋号には、塔之沢温泉の開祖という意味が含まれている(2013年11月現在公式HPで確認)。
よくある「元祖」と「本家」と同様、「一の湯」が後発にも関わらず、正当性を主張しているような屋号にも聞こえるのは、昔から対抗意識というかライバル関係にあったからであろう。
浮世絵師・歌川広重(1797〜1858年)作「箱根七湯 塔之澤」では、仲よく「元湯」と「一の湯」が描かれている。

明治23年(1890)には、屋号を「元湯 環翠楼」に変え、現在に至る
滞在していた伊藤博文(日本初の総理大臣)が、当時の建物を「環翠楼(緑の木々に囲まれた高殿の意)」と詠んだ漢詩を、主人・善左衛門に贈ったことに由来する。

他にも、この時代を代表する文人墨客が多く訪れている。
明治23年、夏目漱石が登楼。
長三州も登楼の際に書を数多く残していった。
明治26年(1893)には、島崎藤村。
明治44年(1911)には、幸田露伴など。
このように、特に明治時代の「環翠楼」は、日本の要人、第一線で活躍している人たちに大いに支持されているのがお分かりであろう。

経営者が変わった明治17年(1884)の年に、大規模な改装工事を行っていたが、大正8年(1919)には、さらに現在の建物である本館北棟(玄関側の棟)の改築工事を行った。
2階建てから4階建てにしたのだ。
この時、出山の隧道を掘削中に湧き出た水を飲料水として利用した。
現在もその沢の湧水は、飲料水や料理用に使われている。
この年、箱根登山鉄道も箱根湯本〜強羅間で開通した。
だが、不幸なことに大正12年(1923)には、あの関東大震災が発生。
ここ箱根でも、壊滅的な被害を被ったが、「環翠楼」は頑強に改装を施していたため、一部崩壊で済んだ。
翌年には、本館南棟も豪華な瓦屋根が印象的な4階建てに改築し、大広間「万象閣」や「神代閣」もリニューアルされた。
その後、現在まで、大きな改装は行わず、できるだけ、明治大正の時代の面影を残しつつ、営業しているわけだが、その努力は相当なものと推察できる。
国の有形文化財に指定されたのは言うまでもない。
作られたレトロではなく、歴史を刻んだリアルなノスタルジーが「元湯 環翠楼」にはある。
「絵になる」風景、情景を求めている写真家、映画監督、CMプランナーなど、魅力的な「絵」を求めているクリエイターたちにとっては、この宿はまさに垂涎の的なのである。
そのままが素晴らしく、セットを組む必要がないからだ。
映画撮影の依頼もいくつかあるそうだが、撮影中、宿が使えなくなってしまうため最近はお断りしているという。
しかし、1日で終えるCM撮影は、盛んに行われているという。
例を挙げると、歌手・松田聖子が出演した富士フィルムの化粧品「アスタリフト」、女優・綾瀬はるかを起用した任天堂DS、女優・蒼井優の角川文庫などの他、アイドルグループAKB48のDVD用の撮影などにも使われている。

「元湯 環翠楼」の最大の魅力は、やはりその歴史にある。
その時代を間違いなく引っ張っていた人間が、ひとときの休日を楽しんだ場所が「元湯 環翠楼」だった。
そこは、博物館でもなく、美術館でもなく、ひとつの旅館として、現代に生き続けている。
つまり、歴史上の人物と、時間、時代は違えども、同じ空間で過ごせるというのは、他の宿ではなかなか味わえない喜びでもある。
現代は、モダンで、スタイリッシュな客室を持ち、最先端のデザインレイアウトの高級旅館がどんどん誕生している。
いかにゆったりと過ごせるか・・・を計算し、デザインとマーケティングを駆使した空間を持つ客室のある宿が増えている。
しかし、時代に迎合せず、その空間だけ時間を止め、大事にそれを維持していき、現代人に伝えていく試みは、文字で書く以上に遥かに難しいはずだ。
明治、大正の、この日本が生まれ変わろうとした、必死さが前面に出ていた時代。
欧米の列強に追いつき追い越せと、競争主義が幅を利かせ、国全体が大号令をかけていた時代。
個人の幸せよりも、国の将来と可能性を第一に考えていた時代。
男性が女性よりも圧倒的に発言力が強かった時代。
・・・などと、同じ日本ながら、考え方や文化がまったく違った時代にあった事を見せてくれる空間。
それが「元湯 環翠楼」の神髄かもしれない。
いま、空前の歴史ブームと呼ばれている。
それは、女性が過去の歴史に興味を持ったことに起因している。
今も、昔も、女性が動くと時代は大きく変わる。
そして、この宿の別な魅力を、見つけていくのも、多分女性なのだろう。

歴史上の人物は、現代に伝わっているように、それぞれの表の舞台というべきところで時代を動かしてきた。
そこには、今では考えられない、必死さと緊張感があったように想像できる。
いわゆるONの状態だ。
しかし、そこは人間。
どんな歴史を動かした偉人でも、一歩仕事を忘れ、時間を愉しむ事をしていたはず。
温泉旅館では、OFFの時間が大半だったように思う。
それが、温泉旅館の役割であり、それが窺い知れるのが、ここ「元湯 環翠楼」なのだ。
そこには、教科書や、歴史書には載っていない、偉人たちの人間くささ、人柄、本音、プライベートな部分が、伝え残されている。
つまり、エピソードの宝庫なのだ。
人間が他の動物と圧倒的に違うのは、文化を持っているかどうかにつきる。
文字を書き、書物を残し、発明もするのが人間。
それを一括りで、文化と呼べば、人間は文化なくしては生きていけない。

新しい文化に触れ、刺激を受ける。
古い文化に触れ、感動を受ける。
そんなことができるのが人間の特権。

だからこそ、マーケティングでなく、トレンドでなく、文化に触れるという、温泉旅館の楽しみ方も知っておいたほうが、人生豊かに過ごせるというもの。
逆の言い方をすれば、「元湯 環翠楼」という宿を知らずして、人生を終えたら、もったいないという考えもある。
人類は、自由に時間を行き来できる、タイムマシーンの発明、誕生を、期待をこめて待ち続けて久しい。
専門家と称する人によれば、未来には行けないかもしれないが、過去には行けるかもしれない・・・らしい。
その重要な環境、アイテムは、その時代のものが、そのまま残っている事が望ましいという。
とすれば、ここ「元湯 環翠楼」ほど、タイムマシーンの実験には相性ピッタリな宿はないはず。
建物は当時のまま残っている。
一番時間を過ごす客室なども、そのままだ。
料理も、昔と同様の懐石料理にこだわっている。
温泉なども、ずっと同じ泉質のアルカリ性単純温泉。
当たり前のように、今も昔も、循環などしない源泉かけ流しの温泉なのだ。

そんなタイムマシーンがなくても、ある程度の妄想力とちょっとした知識があれば、明治、大正の頃に、タイムスリップできそうな空間が、この宿にはたくさんあるようだ。
そんな空間に身を委ねるのも、言い換えれば、文化に触れることと同じ。
人間に生まれた限りは、是非この空間に触れてほしいものだ。
ひとたび、この宿に入れば、温泉旅行が、「時間旅行」に変わる瞬間がきっとある。(JIN)


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